上の前歯が強く前に傾斜していたり、上顎の歯全体や上顎骨が前に出ていたりする状態、前歯の角度異常や、上あごの過成長、下あごの成長不足などにより相対的に上顎全体や上の前歯が突出して見える場合を言います。
出っ歯の原因は、遺伝的な要因が主なものと言われています。顔面の骨格や、歯の大きさなどは遺伝するので、親が出っ歯なら子どもも出っ歯になる確率が高くなります。
後天的な理由としては成長期における指しゃぶり、舌を突き出して飲み込む癖、病的口呼吸の継続などの口腔習癖が主な原因と言われています。
出っ歯は、外見上のコンプレックスになりがちなほか、前歯でものを咬みにくい、前歯をぶつけやすくなる、などのデメリットがあります。
口を閉じづらくなるため、口の中が乾燥しがちになり、細菌が繁殖しやすい状況をつくります。
結果、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
重度の場合は、上下の前歯同士が咬み合うのではなく下の前歯が上の歯の歯茎に咬み込むためにそこの顎骨が吸収してしまい、歯の揺れを若年期に感じるようになってしまう場合があります。
「出っ歯」と言っても、原因やその程度は患者様によって違うので、治療方法や治療期間は変わります。
6歳臼歯が萌えた頃から治療を開始した方がいい場合が多いですが、
歯や顎の骨の状態によっては、予測治療期間通りに進行せずに、遅くなったり早まったりすることもあります。是非、初診カウンセリングを受けて、あなたに合った治療法を見つけてください。
ヘッドギア | マルチブラケット | リテーナー |
下顎前突、反対咬合ともいいます。噛み合わせた時に下の歯が上の歯より前側にあることをいいます。
重度の受け口になりやすい骨格的な特徴としてはいわゆるエラの無い下顎です。その場合は特に要注意です。
受け口の原因は、遺伝的な要因が主なものと言われています。たとえばチャールス5世のハプスプルグ家では代々多くの受け口を出した事で有名です。あなたの両親、親戚にもいませんか?
また、下顎の骨が異常に成長した場合、上顎の骨の成長が平均よりも悪い事が考えられます。下顎の成長は身長が伸びる時期とほぼ同じです。女の子の身長の伸びのピークは10歳頃、男の子ですと12歳頃です。よって、自覚するのは身長増加のピークから1~2年後になります。
もうひとつは骨格や成長とは関係ない歯の角度の問題です。例えば、上の歯の角度が内側向きで下の歯の角度が外側向きであったら受け口といえます。
本来の噛み合わせと逆になっているため、下の前歯の歯ぐきや、歯を支える顎の骨(歯槽骨)へ負担がかかりやすい状態だといえます。そのため、歯を支えきれず、グラついてくることがあります。また、受け口は横から見た時の顔貌が特徴的で、年頃になると見た目がコンプレックスになることも多いようです。
乳歯期の反対咬合は、習慣的な理由(機能的要因)によるものが多く、永久歯にはえ変われば自然とよくなるケースもあります。
「サ」行や「タ」行などの発音がしにくかったりする場合があります。
受け口はなるべく早く矯正治療する、というのが基本的な考え方です。
上顎の成長発育は7~9才にピークを迎え、その後、思春期に下顎の成長発育のピークが訪れます。
受け口というのは、上顎の前歯が下顎の前歯の内側にありますから、受け口という状態そのものが上顎の発育を阻害する要因になります。
このため、上あごの成長発育のピークである小学校低学年以前に矯正治療を開始するのが望ましいのです。
当院では重度の受け口が予測される場合は3歳過ぎから、治療を開始している患者さんもいらっしゃいます。
チンキャップ | フェイシャルマスク | マルチブラケット | リテーナー |
歯のでこぼことは叢生(そうせい)・ 乱杭歯(らんぐいば)ともいい、顎の大きさと歯の大きさのバランスが取れておらず、顎に歯が入りきらないためででこぼこになっている状態をいいます。
犬歯が飛び出している状態を「八重歯」と言いますが、この八重歯もでこぼこのひとつです。
歯の大きさに対して上下顎の骨のサイズが小さいと、歯が並ぶだけの十分なスペースがなくなってしまいます。そのため、永久歯に生え替わるときに、あとから生えてくる歯の並ぶ場所が足りず、重なるようにして生えてしまったり、でこぼこな歯並びになってしまいます。
機能しない歯が出てくる | 生えてくる箇所がばらばらなため、上下の歯がうまく咬み合いません。なかには咬むことができない歯も出てくる可能性があります。 |
---|---|
インプラント・ブリッジなどの治療が難しくなる | 乱杭歯の場合、歯が埋まっている歯槽骨が薄いことが多く、人工歯根を骨に埋め込む「インプラント治療」ができない可能性があります。また、歯列に大きな乱れがあるため、抜けた歯の両隣を支えに人工歯を装着する「ブリッジ」も困難になります。 |
虫歯・歯周病になりやすい | 歯が重なり合っていることでブラッシングが行き届きにくくなります。歯と歯の間にプラーク(歯垢)を溜め込んでしまうため、虫歯や歯周病の原因となってしまいます。 |
口臭の原因になる | ブラッシングがしづらくなることで口臭の原因となってしまいます。 |
叢生(歯のでこぼこ)は永久歯が生え揃ってから、あるいは永久歯が生え揃う少し前から矯正治療を開始するのが一般的ですが、以下のような場合には、早期に矯正治療を開始したほうが望ましいといえます。
そしてなにより「あなたの身近に、八重歯のお年寄りっていらっしゃいますか?」
ゼロとは言いませんが、かなり少ないのでは?
逆に歯並びのいいお年寄りが多いのでは?
八重歯など典型的な歯列不正・咬合不正は虫歯や歯周病になりやすく、残念ながら早期に歯を喪失してしまい、入れ歯を使っていらっしゃるからです。
「八重歯=可愛い」風潮の現代日本ですが、歯科医の立場から言わせていただくと、テレビで活躍するアイドルたちの歯並びは決して褒められる咬み合わせではないですね。
「八重歯=将来入れ歯」って風潮に早く変わっていただきたいと思います。
矯正治療の最終目標のひとつは「将来の健康」だと考えています。
いつまでも自分の歯で食べることができ、お口だけでなく体の健康にも繋がっていくからです。
ヘッドギア | マルチブラケット | リテーナー |
でこぼこの症状に準じますが、歯の本来の向きがその場で回転してしまっている場合をいいます。
前歯で捩れを生じた場合は、見た目を損ねますので特にコンプレックスになりやすい不正です。
あまりにもデコボコの程度が強い場合はあごの幅を広げたり、抜歯を必要とすることもあります。
症状の程度で大きく治療方法が異なりますので、心配な方は初診カウンセリングでご相談ください。
鏡に向い「イー」と発音してください。お隣同士の歯と歯の間に隙間があいていませんか?
上下ではなくお隣同士の歯と歯の間に隙間がある症状をすきっ歯といいます。
前歯2本だけが開いている場合や、歯全体、あるいは奥歯が開いている場合などいろいろありますが、奥歯や歯全体に隙間がある場合を空隙歯列(くうげきしれつ)、前歯と前歯の間に隙間がある症状を正中離開(せいちゅうりかい)といいます。
すきっ歯は乳幼児などの子供に多く見られますが、永久歯が生えてくる前でしたら心配ありません。乳幼児の場合は歯に隙間があるおかげで、乳歯より大きな永久歯が生えてくるスペースを確保することができ、生えそろった後はきれいな歯並びになります。問題なのは大人のすきっ歯。一番見える場所なので、矯正の相談の中でも多い症状です。
すきっ歯の原因には、歯を支えている顎と歯の大きさの不調和が影響しています。
顎の骨が正常な場合は、綺麗な状態で歯が生えてきます。ところが、顎の骨が狭いと歯の治まる場所がないため、八重歯や乱杭歯のようい不揃いな歯並びとなってしまうのです。その逆に顎の骨が広いと、歯が生えてくるスペースがあり過ぎるため、すきっ歯となってしまいます。
大きく分けると次の3つの原因が考えられます。
歯と歯の間に隙間があると、しゃべる時に歯の間から空気が漏れてしまいます。とくにサ行が発音しにくく不明瞭となり、聞き取りづらいと言われています。また食べ物の繊維が歯の間に詰まりやすくなり、虫歯や歯周病、口臭の原因にもなりやすいといわれます。口をあけたときに歯茎が見えてしまうこともあり、コンプレックスとなってしまうようです。
本来歯は、隣の歯と適切な接触をすることにより咬む力を分散し逃がします。
接触がない歯は過重負担になり、欠けたり、揺れが出たりして歯の寿命に影響する場合があります。
大人のすきっ歯ならば、出来るだけ若いうちに治す方がいいでしょう。
歯周組織も若い方が治す期間も短くなります。
全体に隙間がある場合は、歯や顎の大きさ、隙間の度合などによっても異なりますが、上顎・下顎を含めた全体を矯正します。
マルチブラケット | マウスピース型矯正装置 | リテーナー |
スマイルラインとは、笑顔をつくった時に見える下唇のラインと上あごの前歯の先端を横に結んだラインのこと。
前歯のラインは、下唇と平行なやや凸型の彎曲を呈します。これらの前歯の彎曲したラインが、下唇の内側の乾いた部分と塗れた部分の境界線ラインに沿っていると美しいと言われています。
当院では、矯正治療で可能な限りスマイルラインも整えたいと考えております。
正中の不一致は上下の歯の中心がずれている歯並びです。
先天的に歯の本数が足らない場合などは治療できない場合もあります。
歯がでこぼこしていることやあごの変形などが原因となります。正中がきっちりとあっていることはより良いのですが、矯正歯科治療で無理に正中を合わせると咬み合わせがおかしくなってしまうと判断したときには完全に正中を一致させることが難しい場合もあります。
デコボコの歯並びだったり、かみ合わせが反対だったりすると、気になって口を押さえてしゃべったり笑ったりする方がいらっしゃいます。私たちの所に治療に訪れる方の大半は、このように歯並びやかみ合わせが悪いことを気にされている方です。同じような歯並びの方で、その状態をまったく気にされない方もおられることから、矯正治療はひとりひとりの気持ちと深く関係していると医療といえるでしょう。
勇気を出して矯正治療を行なうことで、気にされていた歯並びやかみ合わせがきれいになることはもちろんですし、前歯が出ていたりかみ合わせが逆だったりする場合は矯正治療により口元やプロファイル(横から見た顔だち)も美しくなります。矯正治療は歯並びだけを改善するものと思われがちですが、特に前歯を動かすことで、口元の状態にも影響をもたらすのです。そしてなによりも、皆さまのこころを明るくするものです。
矯正治療終了時の患者様の写真を見ると、その笑顔は喜びと自信に満ちています。美しく明るい笑顔は、コミュニケーションをスムーズにし社会における患者様の可能性をさらに高めてくれることでしょう。皆さまのすばらしい笑顔を見ることが、私たちの最終的な目標であり楽しみでもあります。歯並びやかみ合わせ口元の感じなどが気になる方は、お近くの専門医にご相談下さい。